世界初の性別適合手術を受けた実話「リリーのすべて-The Danish Girl-(2015)」の感想とレビュー

僕はリリーとして考え、リリーとして夢を見る
\ひとことレビュー/
美しく気高く温かく、そして切ない物語。自分の中に、リリーの存在を確信したアイナーが、次第に姿も仕草も女性らしくなっていく様子は息を呑むようにただただ美しく見入ってしまいました。
きみを愛してる。
本当の自分に気づかせてくれた唯一の人だから。
やっと!
やっと!
やっとー!!!観ましたー!
ウォッチリストに追加してはや数年。
エディ・レッドメインが好きだと公言しておきながらのこの愚行たるや!!
それほど焦らして鑑賞した結果、
あまりにも美しく気高く温かく、そしてとても切なくて言葉がありません…。
実在したデンマークの画家、リリー・エルベ。世界で初めて男性から女性への性転換手術を行った人物であり、本作は彼女の苦悩の人生の一部を描いています。
自分の中に、リリーの存在を確信したアイナーが、次第に姿も仕草も女性らしくなっていく様子は息を呑むようにただただ美しく見入ってしまいました。女性用の下着、ファッション、メイク、その全てがリリーにとっては魔法であり、自分を自分たらしめている様子は、まるで祈りの装束のように見えました。
そして舞台となっている1920年代デンマーク当時の古典的なファッションやヘアスタイルがまた本当に素敵なんです!!女性たちは、クラシカルで上品な出で立ちなのにスパスパ煙草吸うわ、セックスの話もあっけらかんと話すわ、めちゃかっこいいのです…
リリーを演じたエディ様の演技力と可愛さは言うまでもなしなんですが、映画の見どころはそんな夫に戸惑いながらもずっと支え続ける妻ゲルダの存在です。実際のゲルダもかつて夫であったリリーが他の男性と恋に落ちたあともずっと支え続けたというから、愛と理解の深さがすごいですよね。これが1920年代の話なのだからよけいに。
LGBTの歴史
少し興味が湧いてサクッとですがLGBTの歴史を少し調べたところ、ちょうど1920年〜1930年ころにかけて欧米で同性愛が「非犯罪化」し、同性愛者の権利が主張されるようになってきたそうです。え、犯罪だったの?と驚いてしまいますが、たしか日本でもちょっと前まで同性愛者は精神病院に入院させられるのが当たり前、という時代もあったそうです。
2022年の今は、LBGTに対する社会の理解も昔に比べるとかなり進んだように思います。とはいえ現代でもまだ理解が及ばず苦しい思いをしている人たちも多くいるといいます。そうした部分に思いを馳せるためにも、遠い遠い昔に、たとえそれが死ぬかもしれない選択であっても本来の自分を取り戻すことを求めた一人の人の物語をぜひ、多くの人に観てほしいなと思いました!
「リリーのすべて」の概要
1928年、デンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナーは、肖像画家の妻ゲルダと共に公私とも充実した日々を送っていた。そんなある日、ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、アイナーは自分の内側に潜んでいた女性の存在に気づく。それ以来、“リリー”という名の女性として過ごす時間が増えていったアイナーは、心と身体が一致しない自分に困惑と苦悩を深めていく。一方のゲルダも、夫が夫でなくなっていく事態に戸惑うが、いつしかリリーこそがアイナーの本質なのだと理解するようになる。移住先のパリで問題解決の道を模索するふたり。やがてその前にひとりの婦人科医が現れる-。
予告トレーラー
Infomation
原題:The Danish Girl
製作国:アメリカ
製作年:2015年
監督:トム・フーパー
脚本:ルシンダ・コクソン
Cast
- エディ・レッドメイン
- アリシア・ヴィキャンデル
- アンバー・ハード
- マティアス・スーナールツ
- エイドリアン・シラー
- ベン・ウィショー
- セバスチャン・コッホ
- エメラルド・フェンネル ほか